相続放棄・限定承認|3か月以内の家庭裁判所手続き
相続放棄・限定承認は、相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申述する手続きです。故人に借金が多い、財産・債務が不明といった場合の主要な選択肢で、期限を過ぎると単純承認とみなされるおそれがあります。借金の調査と並行して進める流れ、必要書類、専門家に相談すべき場面をわかりやすく順番に整理します。
この記事の結論
相続放棄・限定承認は3か月の期限がある重要手続き。借金の調査と並行して、専門家に早めに相談してください。
- 更新日
- 2026-06-22
- 期限
- 死亡から3か月以内
- 対象者
- 借金の可能性がある故人の相続人
- 手続き先
- 故人の住所地を管轄する家庭裁判所
- 必要書類
- 相続放棄申述書、故人の住民票除票、戸籍謄本一式
- 専門家相談検討
- 借金の有無が不明、事業の保証人になっていた可能性、相続人が複数で意見が分かれる
編集方針
本記事は、法務省・国税庁・厚生労働省・日本年金機構・全国健康保険協会・各市区町村の公式情報を引用源として、死後ナビ編集部が中立的に整理しました。 記事内の数値・期限・必要書類は、ページ末尾の「参照した公式情報」に記載した一次情報をご確認のうえ、最終的な手続き判断は役所・法務局・税務署・弁護士・司法書士・税理士などの専門家に必ずご確認ください。
相続放棄の期限と法的根拠
相続放棄・限定承認は、民法第915条により「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」(熟慮期間)に家庭裁判所へ申述します。e-Gov法令検索の民法(https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)で条文を確認できます。この3か月以内に放棄も限定承認もしないと、原則として単純承認(借金を含めてすべて相続)したものとして扱われます。
相続放棄の流れ
- 故人の財産・債務を調査(通帳・督促状・ローン明細・保証契約を確認)
- 相続放棄申述書を準備
- 故人の最後の住所地の家庭裁判所に提出(収入印紙800円+郵便切手)
- 家裁から「照会書」が届くので回答
- 受理通知書が届けば手続き完了(必要に応じて受理証明書を取得)
必要書類
| 書類 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 相続放棄申述書 | 家裁の様式 | 申述人ごとに作成 |
| 故人の住民票除票(または戸籍附票) | 最後の住所地の確認 | 管轄の判断に使う |
| 故人の死亡が記載された戸籍(除籍)謄本 | 死亡の事実の確認 | — |
| 申述人の戸籍謄本 | 相続人であることの確認 | 続柄により追加戸籍が必要 |
| 収入印紙800円・郵便切手 | 申述手数料・連絡用 | 金額は家裁で確認 |
放棄前にやってはいけないこと
- 故人の預金を引き出して使う
- 不動産・株式の名義変更
- 債権者への一部弁済
- 形見以上の財産を処分する
- サブスク・クレジットカードの解約やスマホ・SNSのデータ削除(資産性のあるものは処分行為とみなされうる)
放棄すると相続権はどう移るか
相続放棄をした人は初めから相続人でなかったものとして扱われます。第一順位(子・孫)が全員放棄すると第二順位(父母・祖父母)へ、第二順位も放棄すると第三順位(兄弟姉妹)へ相続権(借金を含む)が移ります。借金を理由に放棄する場合は、放棄によって次順位の親族に債務が移ることがあるため、関係者に状況を伝えておくとトラブルを避けられます。
よくある失敗・注意点
- 3か月を過ぎてから多額の借金が判明する(生前に借金の有無を把握しておく/調査が終わらないときは熟慮期間の伸長を申立てる)
- 故人の預金で支払いをしてしまい単純承認とみなされる
- 次順位の相続人へ連絡せず、後から親族間トラブルになる
次にやること
- /procedure/bank-account/ で口座凍結と単純承認に注意した資金繰りを確認する
- /procedure/credit-card/ で故人のカード債務の扱いを確認する
- /procedure/digital-legacy/ でサブスク・スマホ・SNSの解約が処分行為にならないか確認する
- /checklist/ で3か月以内の期限を含む手続きを整理する
よくある質問
- 相続放棄を取り消せますか
- 受理後の取消しは原則できません。詐欺・強迫など特別な事情がある場合のみ可能性があります。
- 期限が間に合わない場合は
- 家庭裁判所に「熟慮期間の伸長」を申立てれば、期限を延ばせる場合があります。延長の可否や期間は裁判所が個別に判断します(一律に3か月延びるわけではありません)。借金の調査が終わらない場合は、期限が来る前に申立てます。
- 限定承認とは
- 相続財産の範囲内で借金を清算する制度。相続人全員で家庭裁判所に申述する必要があり、手続きが複雑なので利用は限定的です。
- 自分が放棄すると借金は誰にいきますか
- 相続放棄をすると初めから相続人でなかったものとして扱われ、次順位の相続人(第一順位の子が全員放棄すれば第二順位の父母、次に第三順位の兄弟姉妹)に相続権が移ります。借金を承継させないためには、次順位の親族にも放棄が必要になることを伝えるのが親切です。
- 費用はいくらかかりますか
- 家庭裁判所への申述は、収入印紙800円(申述人1人あたり)と連絡用の郵便切手、戸籍・住民票除票の取得実費がかかります。弁護士・司法書士に依頼する場合は別途報酬が必要です。
出典
- 相続の放棄の申述(裁判所)確認日: 2026-05-11
- 民法(e-Gov法令検索)確認日: 2026-05-25第909条の2の預貯金仮払い制度、第915条の相続放棄・限定承認の熟慮期間確認に使用
このページの更新日: 2026-06-22