所有不動産記録証明制度(2026年2月2日施行)|故人の全国不動産をまとめて把握

2026年2月2日施行の所有不動産記録証明制度を、政府広報オンラインと法務省の公式情報をもとに解説。手数料1,600円/通、申請方法、注意点(住所・氏名一致が必要)、スマート変更登記との関係を整理します。

この記事の結論

故人が全国に持っていた不動産を、法務局1か所で一覧化できる制度が2026年2月2日に始まりました。手数料は1通1,600円(窓口)で、相続登記の漏れ防止に有効です。

更新日
2026-05-18
対象者
故人が複数の不動産を所有していた可能性があり、登記漏れを防ぎたい相続人
手続き先
全国の法務局・地方法務局(オンライン請求も可能)
必要書類
所有不動産記録証明書交付申請書、請求者の本人確認書類、相続人として請求する場合: 死亡を証明する戸籍・相続関係を示す戸籍一式、代理請求の場合: 委任状、手数料 1,600円(窓口請求の場合、収入印紙)

編集方針

本記事は、法務省・国税庁・厚生労働省・日本年金機構・全国健康保険協会・各市区町村の公式情報を引用源として、死後ナビ編集部が中立的に整理しました。 記事内の数値・期限・必要書類は、ページ末尾の「参照した公式情報」に記載した一次情報をご確認のうえ、最終的な手続き判断は役所・法務局・税務署・弁護士・司法書士・税理士などの専門家に必ずご確認ください。

2026年(令和8年)2月2日、相続登記の漏れ防止と手続き負担軽減を目的とした「所有不動産記録証明制度」が施行されました。これまで全国に散らばる登記簿を1か所で網羅的に把握する仕組みがなかったため、故人が他県や遠方に持っていた不動産が見落とされ、相続登記義務違反(過料10万円以下)のリスクにつながっていました。本制度により、相続人は法務局1か所で故人の全国不動産を一括確認できるようになります。

制度の概要

項目内容
施行日2026年(令和8年)2月2日
請求できる人所有者本人 または 相続人等
請求先全国の法務局・地方法務局(オンライン請求も可能)
手数料窓口請求 1通1,600円(オンラインは別途)
証明書の内容請求書記載の氏名・住所で登記されている全国の不動産一覧
所要時間請求から発行まで数日〜数週間(法務局の案内に従う)

請求の手順

  1. 故人の登記簿上の氏名・住所(複数ある場合はすべて)を確認する。戸籍の附票、相続登記済の登記簿、過去の納税通知書、固定資産税納税通知書、不動産売買契約書などで遡る
  2. 全国の法務局・地方法務局(最寄りでよい)または法務局オンライン申請システムで「所有不動産記録証明書交付申請書」を入手
  3. 申請書に検索条件(氏名・住所)を記入。請求理由(相続調査など)も記入
  4. 請求者の本人確認書類、相続人として請求する場合は死亡を証明する戸籍と相続関係を示す戸籍一式を添付
  5. 手数料1,600円分の収入印紙を貼付(窓口請求の場合)
  6. 請求書を法務局窓口に提出またはオンライン申請
  7. 発行された証明書を受領し、相続登記の対象不動産を確定

注意点: 住所・氏名の不一致による検索漏れ

そのため、故人の戸籍附票(過去の住所履歴)と婚姻関係を示す戸籍一式を取り寄せ、考えられるすべての住所・氏名の組み合わせで検索することが推奨されます。一度の請求につき1組の氏名・住所しか検索できないため、複数組み合わせがあれば請求も複数回必要になります。

2026年4月1日 住所等変更登記の義務化との関係

2026年4月1日から、不動産所有者の住所や氏名が変更になった場合、変更日から2年以内に変更登記をすることが義務化されます。本記事執筆時点(2026-05)で既に施行済の制度です。これにより、長期的には登記簿の氏名・住所と現状の不一致は解消されていく見込みで、所有不動産記録証明制度の検索精度も上がっていきます。短期的には、過去の不一致による検索漏れは引き続き発生するため、複数住所での検索が重要です。

スマート変更登記(2026年4月1日施行)

住所等変更登記の義務化と同時に始まった「スマート変更登記」は、所有者が事前に法務局に生年月日等の検索用情報を申し出ておくと、住基ネットの異動情報をもとに法務局の登記官が職権で住所変更登記を行う制度です。引っ越しのたびに変更登記の申請をする必要がなくなるため、本人が生前にこの申出をしておくと、相続人の負担を将来的に大きく減らせます。

相続登記義務化(2024年4月施行)との連携

本制度の最大の意義は、2024年4月施行の相続登記義務化(相続を知った日から3年以内、違反は過料10万円以下)の遵守を支援することです。故人の所有不動産を漏れなく把握しないと相続登記の対象が不明確になり、結果的に未登記のまま3年が経過するリスクがあります。本制度を活用することで「知らなかった」では済まされない過料リスクを大幅に減らせます。

本制度の活用が特に推奨されるケース

  • 故人が転居を繰り返していた(複数の都道府県に不動産がある可能性)
  • 故人が地方の実家・別荘・農地・山林を所有していた可能性がある
  • 故人が会社経営や投資をしていて事業用不動産がある可能性がある
  • 故人の遺品から「土地の権利証」「過去の固定資産税通知書」が出てきた
  • 相続人として相続登記義務化(3年以内・過料リスク)への対応を確実にしたい
  • 故人と相続人の関係が遠く、生前の不動産取引履歴を把握できていない

司法書士に代理請求を依頼する場合

相続登記を司法書士に依頼する場合、所有不動産記録証明書の請求も併せて委任できます。委任には委任状と相続関係を証明する戸籍が必要です。司法書士報酬は登記費用と一括で見積もられるため、個別の請求手数料1,600円のみで済むことが多いです。

関連リンク

本記事で引用した政府広報オンライン・法務省・農林水産省の公式情報の最終確認日: 2026-05-18。

よくある質問

所有不動産記録証明制度とは
2026年(令和8年)2月2日から始まった、特定の人が所有する全国の不動産を一覧的にリスト化して証明する制度です。これまで登記簿は土地・建物ごとに作成されており、全国の不動産を網羅する仕組みがなかったため、相続登記の漏れが多発していました。本制度により、法務局1か所で故人の全国不動産を把握できるようになりました。
手数料はいくらかかりますか
窓口請求の場合、1通あたり1,600円です(政府広報オンライン)。オンライン請求の手数料は別途定められており、法務省サイトで最新情報を確認してください。
誰が請求できますか
所有者本人または相続人等です。相続人として請求する場合は、相続関係を示す戸籍謄本一式と死亡を証明する書類が必要になります。司法書士などの代理人に委任することも可能で、相続登記の依頼と併せて請求することができます。
全国の不動産を漏れなく把握できますか
完全ではありません。所有不動産記録証明書は、請求書に記載された検索条件の氏名・住所ごとに作成されます。故人が引っ越し前の住所のまま登記している不動産、旧姓のまま登記している不動産、結婚前の名前で登記している不動産は抽出されない可能性があります。複数の住所・氏名で検索する必要があります。
2026年4月1日施行の住所等変更登記義務化との関係は
2026年4月1日から、不動産所有者の住所や氏名が変更になった場合、変更日から2年以内に変更登記をすることが義務化されます。これにより登記簿の住所・氏名と現住所・現氏名が一致しやすくなり、所有不動産記録証明制度の検索精度も向上していくと予想されます。
スマート変更登記とは何ですか
2026年4月1日から始まる、住所等の変更登記の自動化制度です。所有者が事前に法務局に生年月日等の検索用情報を申し出ておけば、住所変更時に変更登記の申請をしなくても、法務局が住基ネットと照合して職権で変更登記を行います。

出典

このページの更新日: 2026-05-18